プロダクトデザイン制作のフィールド
インダストリアル・デザイナーとは何でしょうか?

この問いに答えるためには、この職業の捉え方、つまりインダストリアルデザインを支える理論を考える必要があります。
この理論は大きくわけて2つあります。
1つ目は、あまりここでは触れませんが、外見にこだわって制作された、いわゆる「デザインの凝った商品」という表現に見られるような、一般的な意味でのインダストリアルデザインを中心とするものです。ここでのインダストリアル・デザイナーはその作品が工業用であってもなくても、オブジェのエステティシャンのように捉えられています。
もう1つは私が共感するもので、先に挙げた発想も取り入れながら、インダストリアルデザインのフィールドをもっと広く捉えているものです。
この2番目の理論によれば、デザインが成功しているオブジェは見た目に美しいだけでなく、日常使いやすい(片付けやすさ、人間工学にあった機能、表面の寿命などの要素が優れている)ものでなければなりません。さらに、製品化にコストがかからない、運搬コストが安い、製造コストが低い、またできれば商品が廃棄処分される際のことも念頭に置いて作られるというのが理想です。
オブジェには生産性を高めるためやコスト(製造ラインでの原材料や組み立て技術、運搬にかかるコスト)を削減するための工夫や、ユーザー実験を行うなどして、販売力を高めていきます。

- Les principes du design universel
- PDF produit par 「The Centre for Universal Design」 à la NC State University, USA.
こういった意味で、インダストリアル・デザイナーには様々な問題に全体を見渡しながら取り組んでいく力、また、マーケティング、社会学、人間工学(人と、仕事をする場所、そして心理学の分析)、原材料、原材料の加工、製品化、エンジニアリング、デザイン、オブジェを感じる人間の五感のコミュニケーション力に関する知識が必要です。
このようにこの仕事はとても複雑で、知っていなければならないことを全てリストアップすることは不可能です。だからこそ、新しいプロジェクトを担当するたびに新たなフィールドが広がる、やりがいがある仕事なのです。
小さな企業とのプロジェクトでは、インダストリアル・デザイナーには特にマーケティング、社会学、エンジニアリングなどの知識が必要になります。これは(コスト削減、顧客獲得などの)企業側のニーズにお応えするのと同じように、企業のご担当者様からのご要望にもお応えするためです。
マーケティング、人間工学、エンジニアリングなどに強い企業と仕事をする場合、インダストリアル・デザイナーはどちらかというと「まとめ役」に徹することになります。最終的な製品の実現に至るまでには、インダストリアル・デザイナーがマーケティング、デザイン、技術、人間工学などをうまく融合させることが必要になってくるからです。
こういった理由から、チームワークが大変重要になってきます。あらゆる視点から見て成功した商品にするために、マーケッターや消費者、エンジニア、経営陣の要望に応える必要があるからです。
インダストリアル・デザイナーのサービス

企業の規模、プロジェクト、抱えている問題によって変わってきます。 基本的に、技術またはテクノロジーを中心に製品製造している企業にインダストリアル・デザイナーが提供できるサービスはこのようになります。:
プロジェクトに合ったデザインを提供し、お客様の製品を魅力的で価値あるものにします。
形や組み立てを工夫し、製造過程でのコストを削減します。
また、同じような方法で、販売店への商品の運送コストも削減します。
こうすることにより、取引がその後も続くような顧客を獲得します。
以上のことは全てプロジェクト、プロジェクトの規模、お客様のニーズによります。
プロセス
ここにあげるのは目安となるものです。というのも、製品の外見のみを
変えたいというニーズもあれば、製品戦略、顧客戦略など製品全体に関わるサービスへのニーズもあり、案件ごとにそれぞれ違った特徴があるからです。
企業とインダストリアル・デザイナーとの初の打ち合わせ
企業は、特に解決したい問題、また目的を説明します。また、インダストリアル・デザイナーにどんなことを期待しているかも述べることになります。インダストリアル・デザイナーはこれを基に現場調査を開始します。
現場
制作アトリエ、販売場所、企業によって制作された製品が実際に使用されているところなどを見ることによって、じかにシステムやオブジェの不具合な点、またうまく機能する点を確認することができます。ライバル商品やその時代のトレンドに関する研究も大変重要です。
2度目の打ち合わせ
インダストリアル・デザイナーは、現在の状況を分析します。(競争、使用可能なテクノロジー、不具合、流行のデザインなど)
こういったいくつかの状況を分析し、今後の方向について、大まかな提案をします。これが企業の担当者と話しあう際の主要なテーマとなります。
提案

この打ち合わせの際に、デッサンやミニチュア模型、デジタルデータなどの形でデザイナーは具体的に技術面、デザイン面での提案をします。
その後、企業担当者の意向を汲みながら、インダストリアル・デザイナーはいくつかのソリューションについてさらなる研究を重ね、2Dデッサンまたは3Dのコンピューターグラフィックスで模型や、プロトタイプという形でモデルを完成させます。
これをもとに、企業がひとつのモデルを選び、多くの場合、企業側でさらに手が加えられます。
結論
商品の種類・販売数を増やしたい、もっと競争力を上げたいという場合に、インダストリアル・デザイナーにご相談されることは中長期的視点から見て正しい選択です。
というのも、現在、または潜在的なニーズにあわせた商品を作ることによって、長期間において商品が成功する可能性が高くなるからです。
インダストリアル・デザイナーはオブジェだけを扱うわけではありません。 インダストリアル・デザイナーの空間・機能・デザインという概念は、展示会の展示スペース、販売場所の整備、また販売場所での広告ディスプレイにまで応用できます。またパッケージも扱うことができます。






